信用格付対策④ 営業利益

信用格付は、定量評価及び定性評価によって行われますが、実際には定量評価への配点が大きく、定性評価は定量評価の補足程度に用いられることが通常です。

また、定量評価の中でも各項目への配点に差があり、とりわけ返済能力への配点が大きくなっています。

つまり、返済能力の向上が、定量評価の改善の近道となります。

返済能力は、債務償還年数、インタレスト・カバレッジ・レシオ、キャッシュフロー額の各項目に細分化され、評点されますが、これらの3項目の計算式には、共通して営業利益が含まれています。

したがって、営業利益の増加が、定量評価の改善の近道ともいえます。

営業利益は、

  • 売上―売上原価=売上総利益
  • 売上総利益―販売費及び一般管理費=営業利益

の手順で算出します。

よって、

①売上総利益を大きくする
②販売費及び一般管理費を小さくする

ことで、営業利益は増加します。

下記に、営業利益を増加させる方法の一部をご紹介しますが、若干の専門知識を要する事項もありますので、不明な点がある場合には、顧問税理士にご相談ください。

①売上総利益を大きくする

A. 仕入値引・仕入割戻を仕入高のマイナスとする

仕入値引・仕入割戻は、請求書上で値引・割戻額が仕入額から控除されるという手法で行われることが一般的ですが、いったん仕入額を支払った後に振り込みで値引・割戻額が返金されるという手法で行われることがあります。

この場合の返金額を雑収入として処理しているケースがありますが、これを仕入のマイナスとして処理することで、売上総利益、ひいては営業利益を増加させることができます。

B. 定款の見直し

会計上、本業に係る収入は売上高として、副業に係る収入は雑収入として処理します。

この本業と副業の峻別は、一般に、定款の事業目的に列挙されている事業か否かにより判断されます。

もし、事業目的に列挙されていない事業に係る収入が大きい(雑収入が大きい)場合には、これを事業目的に記載し、売上とすることで、売上総利益、ひいては営業利益を増加させることができます。

②販売費及び一般管理費を小さくする

A. 臨時的・偶発的な費用が販売費及び一般管理費に含まれていないか

退職金等、臨時的・偶発的に生ずる費用が販売費及び一般管理費として処理されている場合には、これを特別損失として処理することで、営業利益を増加させることができます。

B. 倒産防止共済の掛金につき、積立金方式(申告調整方式)を採用しているか

倒産防止共済の掛金については、全額を保険料等として費用処理(損金経理)する方法と、全額をいったん保険積立金として資産計上し、法人税申告書の別表上で減算する方法の2通りの処理方法が認められています。

このうち、後者の方法を採用することで、前者の方法を選択した場合と比して、営業利益を増加させることができます。

C. 借上げ社宅の自己負担分を受け取った際に費用のマイナスとしているか

会社が社宅を賃借し、従業員等に貸すことにより受け取る賃貸料が、雑収入として処理されている場合には、これを地代家賃のマイナスとして処理することで、営業利益を増加させることができます。

D. 貸倒引当金を差額補充法で計上しているか

貸倒引当金を洗替法で計上している場合には、差額補充法で計上することで、営業利益を増加させることができます。

E. 法人税・法人住民税・法人事業税を租税公課でなく法人税等で処理しているか

法人の支払う法人税・法人住民税・法人事業税は、会計上、法人税、住民税及び事業税として税引前利益から控除する形式で処理すべきものです。

これらが他の租税とともに租税公課として処理されている場合には、法人税、住民税及び事業税として処理することで、営業利益を増加させることができます。