神奈川県の起業・創業数は全国第3位
神奈川県の起業・創業数は、全都道府県の中で、東京都、大阪府に次いで第3位となっています。
また、神奈川県は、全都道府県の中で、東京都に次いで人口が多く、起業・創業を目指す方にとっては、ターゲットが豊富なエリアであるということができます。
中でも、横浜市は、
- 起業・創業者数→毎月平均250社(2018年度の株式会社、合同会社の新規設立数)
- 人口→3,748,781人(2019年10月1日時点)
と、神奈川県下トップの起業・創業数、人口を誇ります。
神奈川県下でもとりわけ起業・創業が活発で、かつ起業・創業に適しているのが横浜市ということができるでしょう。
横浜で起業・創業をする方が利用できる創業融資とは
横浜市で起業・創業される方が利用できる創業融資には、大きく分けて
- 日本政策金融公庫の新創業融資制度
- 自治体の制度融資
の2つがあります。
日本政策金融公庫の新創業融資制度
日本政策金融公庫の新創業融資制度とは
日本政策金融公庫は、多様な会社のニーズに合わせた多くの融資制度を設けていますが、このうち創業融資に用いられるのは、
- 新規開業資金
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
の2つです。
新規開業資金と女性、若者/シニア起業家支援資金のどちらの融資制度を利用すればよいのかについては、
- 女性、若者、シニア(女性、35歳未満、55歳以上)に該当する方→女性、若者/シニア起業家支援資金
- 上記に該当しない方→新規開業資金
と考えてしまって差し支えありません。
なお、新規開業資金、女性、若者/シニア起業家支援資金の利用には、原則として、代表者が会社の連帯保証人となることが求められます。
もし、代表者が会社の連帯保証人となった状態で、会社が返済不能に陥ると、代表者が会社に代わって返済を続けなければなりません。
しかしながら、日本政策金融公庫では、新たに起業・創業を目指す方が、この新規開業資金、女性、若者/シニア起業家支援資金を無担保・無保証人で利用できる優遇措置として、新創業融資制度を設けています。
つまり、この新創業融資制度と新規開業資金または女性、若者/シニア起業家支援資金を併用すれば、会社が返済不能に陥っても、代表者が会社に代わって返済を続ける必要がないのです。
この点が、日本政策金融公庫で創業融資を受ける最大のメリットとなっています。
詳しくは、
をご参照ください。
横浜市の日本政策金融公庫
日本政策金融公庫の創業融資の申し込みは、自社の本店所在地を管轄する支店で行います。
なお、横浜市には、横浜支店、横浜西口支店の2つの日本政策金融公庫の支店があります。
それぞれの支店の管轄区域は次のとおりです。
- 横浜支店 横浜市中区/横浜市南区/横浜市磯子区/横浜市金沢区/横浜市港南区/横須賀市/鎌倉市/藤沢市/茅ヶ崎市/逗子市/三浦市/葉山町/
- 横浜西口支店 横浜市神奈川区/横浜市西区/横浜市保土ケ谷区/横浜市港北区/横浜市戸塚区/横浜市旭区/横浜市緑区/横浜市瀬谷区/横浜市栄区/横浜市泉区/横浜市青葉区/横浜市都筑区/
また、日本政策金融公庫には、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3つの部署がありますが、創業融資については、このうち国民生活事業が窓口となります。
日本政策金融公庫の新創業融資制度申し込みの必要書類・添付資料
日本政策金融公庫の新創業融資制度申し込みの必要書類、審査通過の確率を高める添付資料は次のとおりです。
必要書類
日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用するための必要書類は、次のとおりです。
①借入申込書 ②創業計画書 ③代表者個人の通帳 ④代表者個人に借入がある場合には、借入残高と月々の返済額がわかる書類 ⑤不動産の賃貸借契約書(店舗及び代表者自宅に係るもの) ⑥営業に必要な資格または免許を有していることを証明する書類 ⑦設備投資に係る見積書、請求書等 ⑧運転免許証のコピー ⑨印鑑証明書 ⑩代表者自宅の公共料金(水道光熱費)の支払い状況がわかる書類 ⑪履歴事項全部証明書(謄本)及び定款 |
なお、借入申込書及び創業計画書の記載方法等については、
をご参照ください。
添付資料
日本政策金融公庫の新創業融資制度の審査通過確率を高める添付資料(提出は任意)は、次のとおりです。
①資金繰り表 ②損益計画 |
リンク先は、実際に弊社が創業融資支援にあたり使用している資金繰り表と損益計画のExcelフォーマットです。
ぜひ、ご活用ください。
日本政策金融公庫の新創業融資制度申し込みの流れ
日本政策金融公庫の新創業融資制度の申し込みから融資実行までの流れは次のとおりです。
なお、日本政策金融公庫の新創業融資制度は、申し込みから3〜4週間で実行されるのが一般的です。
①事業資金相談ダイヤル0120-154-505(行こうよ!公庫)で電話相談をする ↓ ②必要書類を揃え、事業所最寄りの日本政策金融公庫支店に行き、申し込みをする ↓ ③担当者から、面談時に持参すべき書類、面談日程の案内の連絡がある ↓ ④申し込みをした支店で面談が実施される ↓ ⑤面談後に、事業所まで担当者が事業実態の確認に来ます。 ↓ ⑥担当者から融資可決の連絡がくる ↓ ⑦送付されてきた金銭消費貸借契約書等に必要事項を記載し、返送する ↓ ⑧返送した書類が日本政策金融公庫に到着した3営業日後に、借入申込書に記載した口座に融資金額が振り込まれる |
自治体の制度融資
制度融資とは
制度融資は、金融機関、信用保証協会、自治体が一体となって行われ、会社が銀行に支払う利息の全部または一部、信用保証協会に支払う信用保証料の全部または一部を、自治体が補助してくれる融資制度です。
制度融資には、神奈川県の制度融資と、横浜市の制度融資とがあり、いずれかを選択して利用することができます。
これらの制度融資は、それぞれ融資条件や補助内容が異なりますので、あらかじめ検討を行い、より自社のニーズに合った制度融資を利用するようにしましょう。
また、後述のとおり、神奈川県の制度融資の利用には、横浜市の制度融資の利用に必要なワンストップ経営相談窓口での相談が不要(任意で「創業支援機関」に相談することが可能です。この場合には、「創業特例」に該当し、金利の優遇を受けることができます。)となっています。
このことから、一般に、神奈川県の制度融資を利用する方が、横浜市の制度融資を利用するよりも資金調達に要する期間が短くなりやすいという点は、念頭に置いておきましょう。
なお、金融機関によっては、制度融資に詳しくなく、会社の有利不利に関わらず、神奈川県の制度融資または横浜市の制度融資のいずれかを提案してくることがあります。
したがって、あらかじめ、会社の側で利用する制度融資を決定し、「この制度融資で申し込みをしたい」と伝えることをおすすめします。
神奈川県の制度融資
横浜市で起業・創業をする方については、神奈川県の制度融資を利用することができます。
神奈川県は、創業者向けに「創業支援融資」という制度融資を設けています。
神奈川県の制度融資「創業支援融資」の内容は次のとおりです。
○対象者
1ヶ月以内に個人事業主として、または2ヶ月以内に法人として、神奈川県内で開業する方や、神奈川県内で開業してから5年未満の中小企業
○資金使途
設備資金及び運転資金
○融資限度額
3500万円(状況により変動)
○融資利率
1.8%以内(創業特例を利用する場合には1.6%以内)
○融資期間
10年以内
○据置期間
12ヶ月以内
○返済方法
分割返済
○担保
不要
○保証人
不要。ただし法人の場合には代表者の連帯保証が必要
○補助内容
信用保証料の一部補助、市町村により利子補給
○申し込み手続き
神奈川県の制度融資「創業支援融資」申し込みから融資実行までの流れは次のとおりです。
①創業支援融資の申込書類を金融機関に持ち込み融資を申し込む ↓ ②金融機関から信用保証協会の信用保証委託申込書等の交付を受ける ↓ ③信用保証委託申込書等を金融機関に提出する ↓ ④信用保証協会の現地調査・面談を受ける ↓ ⑤信用保証協会の保証審査・金融機関の融資審査を経て融資が実行される |
横浜市の制度融資
横浜市で起業・創業をする方については、横浜市の制度融資を利用することができます。
横浜市は、創業者向けに「創業おうえん資金」という制度融資を設けています。
横浜市の創業融資「創業おうえん資金」の内容は次のとおりです。
○対象者
1ヶ月以内に個人事業主として、または2ヶ月以内に法人として、横浜市内で開業する方や、横浜市内で開業してから5年未満の中小企業
○資金使途
設備資金及び運転資金
○融資限度額
3500万円(状況により変動)
○融資利率
1.9%以内(支援創業関連保証に該当する場合等には、1.5%以内)
○融資期間
10年以内
○据置期間
12ヶ月以内
○返済方法
分割返済
○担保
不要
○保証人
不要。ただし法人の場合には代表者の連帯保証が必要
○補助内容
信用保証料の一部補助
○申し込み手続き
横浜市の制度融資「創業おうえん資金」申し込みから融資実行までの流れは次のとおりです。
①ワンストップ経営相談窓口で融資相談を行う ↓ ②横浜市から斡旋書の交付を受ける ↓ ③斡旋書を金融機関に持ち込み融資を申し込む ↓ ④金融機関から信用保証協会の信用保証委託申込書等の交付を受ける ↓ ⑤信用保証委託申込書等を金融機関に提出する ↓ ⑥信用保証協会の現地調査・面談を受ける ↓ ⑦信用保証協会の保証審査・金融機関の融資審査を経て融資が実行される |
制度融資の窓口
神奈川県の制度融資も、横浜市の制度融資も、申し込みの窓口は、金融機関です。
したがって、制度融資を利用するためには、まず、申し込みをする金融機関を選定する必要があります。
金融機関には、大きく分けて、
- メガバンク
- 地方銀行
- 信用金庫
の3種類があります。
このうち、メガバンクには、全国各地に支店やATMが存在し、利便性が高いというメリットがありますが、融資については、数千万円単位の高額の融資がメインとなっています。
このため、メガバンクは、原則として創業融資には対応してくれません。
一方で、地方銀行や信用金庫は、創業者への融資にも積極的に取り組んでくれます。
したがって、制度融資を受けるには、まず地方銀行または信用金庫を選択するとよいでしょう。
なお、神奈川県には、次の地方銀行、信用金庫があります。
神奈川県の地方銀行一覧
神奈川県の地方銀行は次のとおりです。(あいうえお順)。
神奈川県の信用金庫一覧
神奈川県の信用金庫は次のとおりです(あいうえお順)。
神奈川県、横浜市の制度融資は、どの金融機関に申し込めばよいのか
神奈川県の制度融資、または横浜市の制度融資は、
預貸率の高い金融機関 |
の、
本店所在地を管轄する支店 |
で申し込むようにしましょう。
預貸率の高い金融機関
金融機関の収入源は、融資利息や、各種手数料です。
一口に「金融機関」といっても、それぞれに戦略が異なり、その戦略に応じて融資利息を主な収入源としている金融機関、各種手数料を主な収入源としている金融機関とがあります。
したがって、制度融資を受けたいのであれば、このうち、融資利息を主な収入源としている金融機関、すなわち融資に熱心な金融機関に申し込みをすればよいということになります。
融資に熱心な金融機関を見分けるための指標としては、「預貸率」が挙げられます。
預貸率とは、
金融機関の預金残高に占める融資残高の割合 |
をいいます。
つまり、預貸率が高い金融機関ほど、融資に熱心な金融機関であるということができます。
下記が、神奈川県の全地方銀行・信用金庫の預貸率のランキングです。
ぜひ、制度融資を申し込む金融機関の選定にお役立てください。
1位 神奈川銀行 82.47%
2位 横浜銀行 77.65% 3位 湘南信用金庫 59.46% 4位 川崎信用金庫 58.46% 5位 横浜信用金庫 56.31% 6位 かながわ信用金庫 49.23% 7位 さがみ信用金庫 44.15% 8位 平塚信用金庫 41.47% 9位 中栄信用金庫 40.63% 10位 中南信用金庫 26.52% (各地銀・信金のディスクロージャー誌に基づき、弊社が作成したもの) |
本店所在地を管轄する支店
預貸率から制度融資を申し込む金融機関を決定したら、次は、その金融機関の支店を選ぶ必要があります。
地方銀行や信用金庫は、地域密着を旨としていますので、その支店ごとに細かく管轄区域が定められています。
基本的には、制度融資を申し込む支店は、自社の本店所在地を管轄する支店(≒本店所在地最寄りの支店)となります。
管轄外の支店に融資の申し込みをした場合、当該支店から管轄の支店に申し込み資料を送付してくれることもありますが、管轄の支店に再度融資の申し込みをするよう指示されることもあります。
いずれについても、多忙な創業時において余分な事務負担が生ずることとなりますので、あらかじめ管轄の支店を調べ、当該支店に融資を申し込むことをおすすめします。
管轄の支店は、自身で調べることもできますが、その金融機関の本店に問い合わせをして、教えてもらうのが確実です。
日本政策金融公庫の創業融資と自治体の制度融資との違い
日本政策金融公庫の創業融資と自治体の制度融資とには、主に次の違いがあります。
①担保・保証人
日本政策金融公庫の創業融資は、新創業融資制度または中小企業経営力強化資金の利用により、無担保・無保証人で利用できます。
一方で、制度融資は、代表者が会社の連帯保証人となることが必要です。
②審査期間
日本政策金融公庫の創業融資は、日本政策金融公庫のみの審査を経て実行されます。
一方で、制度融資は、信用保証協会と金融機関の2者の審査を経て実行されます。
このため、制度融資は、日本政策金融公庫の新創業融資制度と比較して審査期間が長期化するのが通常です。
概ね、日本政策金融公庫であれば申し込みから3〜4週間、制度融資であれば1月半〜2月程度でそれぞれ着金となると考えておくとよいでしょう。
③「創業」の意義
日本政策金融公庫の新創業融資制度では、税務申告を2期終えていない者を創業者として取り扱う一方、制度融資では、創立後5年以内の者を創業者として取り扱います。
つまり、税務申告を3回以上5回未満行っている会社については、日本政策金融公庫の新創業融資制度ではなく、制度融資(または日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金)により創業融資を調達することとなります。
④副業に対する融資の可否
会社員として勤務を継続しながら創業をする(=副業で創業する)場合、日本政策金融公庫では、融資を受けることが可能ですが、制度融資では、原則として融資を受けることができません。
⑤自己資金要件の有無
日本政策金融公庫の新創業融資制度には、事業開始後税務申告を1期終えていない者に対しては創業資金総額の10分の1以の自己資金を確認できることという要件がありますが、制度融資には、こうした自己資金に係る要件はありません。
⑥設備資金の取扱い
借入に当たって見積書が必要な点は日本政策金融公庫も制度融資も同様ですが、制度融資については、融資資金の振込先口座から直接、見積り発行業者に見積書どおりの金額を振り込むことを要求されるケースや、後に領収書の提出を要求されるケースがあります。
一方で、日本政策金融公庫では制度融資ほど資金使途を確認してくることはありません。
とはいえ、日本政策金融公庫は、計画どおりに設備資金が投下されることを前提に審査を行い、融資を実行するのですから、資金使途は厳守しなければなりません。
⑦レンタル・バーチャル・シェアオフィスを本店とした場合の評価
日本政策金融公庫では、本店登記地がレンタルオフィスやバーチャルオフィス、シェアオフィスであっても、営業の実態があれば、融資を受けることが可能です。
一方で、制度融資では、これらのオフィスを本店とすることは、審査上、ネガティブな評価となります。
制度融資であっても、情報の気密性確保に充分な間仕切りがある等の要件を充足すれば、利用は可能ですが、極力、これらのオフィスを本店登記することは避けた方がよいでしょう。
日本政策金融公庫の新創業融資制度と自治体の制度融資を同時に申し込むことは可能か
日本政策金融公庫の新創業融資制度と、自治体の制度融資は、同時に申し込むことができます。
もし、いずれか一方の融資を申し込み、否決されてしまってからもう一方の融資を申し込むのでは、創業融資調達と事業開始は大幅に遅れてしまいます。
このため、リスクヘッジのためにあらかじめ日本政策金融公庫の新創業融資制度と自治体の制度融資の両方に同時に融資の申し込みをすることも検討するとよいでしょう。
なお、この場合、両方の審査に通過してしまうこともありますが、
- 創業時には、不測の支出が嵩むのが通常であること
- 日本政策金融公庫も民間金融機関もコストを投じて審査を行ってくれていること
等に鑑み、原則として、どちらからも融資を受けるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
神奈川県、特に横浜市は起業・創業が活発な地域であり、かつ起業・創業に適した地域です。
しかしながら、神奈川県、横浜市には多くの金融機関が存在することから、創業融資調達に係る選択も多く、この点は起業・創業を目指す方にとっては好ましいと同時に悩ましくもあります。
起業・創業が活発であるということは、それだけ競合が生まれやすいということでもあり、実際に神奈川県、横浜市は、起業数だけでなく廃業数でも全国平均を大きく上回っています。
多くの人口、すなわち豊富なターゲットを擁する神奈川県、横浜市で起業・創業し、成功するには、創業融資により事業資金を調達し、競合他社よりも早く市場に進出する必要があります。
弊社では、税理士有資格者が直接、完全成功報酬にて日本政策金融公庫の新創業融資制度、神奈川県や横浜市の制度融資の利用による創業融資獲得と、1日でも早い事業開始を徹底サポートしております。
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