銀行の融資審査の仕組み② 格付ー概要

銀行は、会社から融資の申込を受けると、まずは、その会社の決算数値を評点(定量評価)した後、その会社の業歴、市場動向、競合状態などの数値以外の部分を評点(定性評価)し、この結果に基づいて融資の可否を決定します。

この評点のことを、「格付」といいます。

また、融資の可否のほか、貸付期間の長短や担保・保証の要否・利率の高低といった融資の条件までもが、この格付によって決定されます。

つまり、融資審査は、この格付によって決するといっても過言ではありません。

(なお、今日では、事業性評価に基づく融資が推進されており、この融資姿勢には変化が生じつつあります。詳しくは、「融資審査の仕組み④ 事業性評価」をご参照ください。)

なお、定量評価は決算書という過去の実績をシステムが評価するため、客観性が確保される一方で、定性評価は未来の見通しを人間が評価するため、客観性の確保が困難であることから、格付上、定性評価は定量評価の補完として位置づけられています。

具体的には、概ね、

  • 都銀は定量評価9:定性評価1
  • 地銀は定量評価7:定性評価3
  • 信金は定量評価6:定性評価4

程度の割合で格付は行われています。

したがって、まずは定量評価に焦点を当て、格付が高くなる決算書を作成することが、融資を受ける際の最大の秘訣となるのです。

ただし、「格付が高くなる決算書を作成する」といっても、粉飾を行って不正に利益を大きく見せたりすることは厳禁です。

遊休資産を売却して自己資本比率を高めるなど、適宜、試算表を見直して、戦略的にアクションを起こしていくことが、格付が高くなる決算書の正しい作成方法となります。

また、このほか、会計上及び税法上、複数の処理方法が認められている取引につき、より格付が高くなるような処理方法を積極的に選択していくことでも格付は改善します。

つまり、格付を理解し、意識して決算書を作成するかどうかで、同じ会社の決算書でも格付、ひいては融資の可否が変わってしまうことがあるのです。

なお、「融資審査の仕組み① 融資の5原則」で、融資審査には5つの原則があることをご紹介しましたが、格付けもこの原則を意識した採点基準によって行われることになりますので、参考としてください。

融資審査は、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。

銀行がどのような基準で格付を行なっているかを把握し、これに基づいて決算書を戦略的に作成することで、融資を受けやすい会社にしていきましょう。