試算表は毎月作成する

試算表は、その名のとおり、毎月の貸借対照表項目及び損益計算書項目を試算・集計したものです。

 

銀行に融資の申し込みを行った際、試算表の提出を求められ、慌ててしまう会社は少なくありません。

目安としては、申し込み時点で、前回決算から3ヶ月程度を経過していると、前月までの試算表の提出を求められることが通常です。

 

試算表は、決算書のように、税務申告の基礎となるものではありませんが、下記のとおり、融資審査を有利に進めることのできる重要な資料です。

是非、毎月作成することをおすすめします

なお、作成した試算表は、担当者にメールで送信し、または担当者に会社まで来てもらい、提出しましょう

 

試算表作成のメリット

 

試算表の作成には、

①期中の実績をアピールできる

②資金需要の説明となる

定性評価及び事業性評価の加点となる

といったメリットがあります。

 

①期中の実績をアピールできる

前回決算から3ヶ月程度以内の融資申し込みであれば、当期の試算表の提出は不要であることが通常です。

ただし、前期決算と比して、今期の数字が上向いている場合には、試算表を作成し、その旨をアピールすると、融資を受けやすくなります。

 

②資金需要の説明となる

会社には、業態等に応じて、資金需要の波があります。

融資審査には、相応の時間を要しますので、いざ資金需要が生じてから申し込みを行っても間に合いません

このため、定期的に銀行に試算表を提出し、資金需要が生じる時期と、融資を申し込む可能性のある時期とを説明するのです。

なお、毎月の試算表の提出に加え、良好な融資先と認識されれば、資金需要が生ずる時期が近づくと、銀行から融資の打診を行ってくるようにもなります。

 

③定性評価及び事業性評価の加点となる

会社の事業活動は、「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」の循環(PDCAサイクル)に集約されます。

試算表は、この「評価(Check)」の基礎となる資料です。

このため、本来、試算表は、融資対策とは関係なく毎月作成すべき資料です。

しかしながら、多忙等の事情により、作成を怠っている会社が意外と多いことから、毎月試算表を作成している経営者を、銀行は管理能力の高い経営者として評価します。

なお、こうした経営者の評価は、融資審査の基礎となる定性評価事業性評価の加点に繋がります。

 

銀行の試算表のチェックポイント

 

銀行は、

①すぐに提出できるか

②貸借対照表の現預金勘定・仮払金等の雑勘定及び貸付金勘定・借入金勘定

③損益計算書の売上高・売上総利益率・販管費・減価償却費・営業利益・支払利息

といったポイントに基づき、会社の試算表をチェックします。

 

①すぐに提出できるか

銀行は、会社に試算表の提出を求めた際、その内容はもちろんですが、すぐに提出がなされるかをチェックしています。

ここで、なかなか提出がなされない会社を、銀行は、「試算表を作成していない会社」と判断します。

銀行にとって、試算表を作成していない会社は、会計を軽視している会社に他なりません。

結果、定性評価事業性評価において、減点対象となるおそれがあります。

請求の締め日等の関係で、毎月の試算表作成が困難な会社であっても、最低2ヶ月前までの試算表は作成しておきましょう。

 

②貸借対照表の現預金勘定・仮払金等の雑勘定及び貸付金勘定・借入金勘定

現預金勘定

銀行は、現預金の潤沢な会社に融資をしたがる傾向があります。

したがって、毎月の現預金の増減は、銀行にとって重要なチェックポイントとなります。

 

仮払金等の雑勘定及び貸付金勘定

仮払金等の雑勘定や貸付金勘定は、銀行が最も嫌う勘定科目の一つです。

雑勘定や貸付金勘定は、粉飾や、使途不明な費用の処理に用いられることのある勘定であるためです。

また、貸付金勘定があるということは、銀行にとっては、融資をした資金が、代表者等に流用されたこと(資金使途違反)に他ならないためです。

決算書上はもとより、試算表上も、雑勘定や貸付金勘定は解消し、完全な解消が不可能な場合であっても、定期的に一部を解消し続けておく必要があります。

 

借入金勘定

銀行は、会社に融資を行う際に、債務償還年数((短期借入金+長期借入金)÷(減価償却費+営業利益))及び借入金月商倍率((短期借入金+長期借入金)÷平均月商)といった指標を用いて会社の返済能力等を把握し、適正な融資実行額を算定します。

この他、銀行は、他の銀行から新規の融資を受けたか否か及び約定通りの返済がなされているか否かを、借入金勘定の増減から確認します。

 

③損益計算書の売上高・売上総利益率・営業利益・支払利息

売上高

銀行は、売上高の増減、あるいは増減の大小で、会社の業績推移や粉飾の有無を確認します。

 

売上総利益率

売上高−売上原価により求められる売上総利益、または売上に占める売上総利益の割合(売上総利益率)は、会社の収益性を示す最も基本的な指標の一つであり、銀行にとっても重要なチェックポイントとなります。

売上総利益率が著しく変動していると、在庫操作による粉飾が疑われることとなり、また、これが著しく低下していると、仕入原価が高騰しているのでは(業況のマイナス要因)と疑われることとなります。

 

営業利益

売上総利益−販管費により求められる営業利益は、会社が本業から稼得した利益であり、銀行にとって、信用格付における定量評価の要素ともなる重要なチェックポイントとなります。

このため、営業利益の増減要員として、売上総利益はもちろん、販管費の大きな動きについても確認がなされます。

 

支払利息

銀行は、融資シェアを落とさないために、他の銀行の融資条件等を注視します。

支払利息の増減は、銀行にとって、他の銀行の金利の増減を図る重要なチェックポイントとなります。

 

ポイント

・試算表は、PDCAサイクルの基礎となる重要な資料である。

・試算表は、融資審査を有利に進める重要な資料である。

・試算表は、銀行のチェックポイントを踏まえて毎月作成・提出する。