格付対策⑧ 固定資産

創業後、業績が上向き、資金が潤沢となってきた会社には、これまで賃借してきた固定資産を自社で購入しようとするという傾向があります。

たしかに、固定資産の購入には、長期的にみれば賃借料を支払い続けた場合と比して全体としてのキャッシュアウトを減少させたり、さらに、その資産が減価償却資産であれば、賃借料を支払った場合と比して税額を減少させたりする効果があります。

ただし、固定資産の購入は、一般に、多額の資金流出を伴います

会社が潰れるのは資金が枯渇した時であり、それゆえ会社の生存にとって最も重要なことは、「長期的にみれば」、ではなく、「まさに今」、より多くの現預金(流動資産)を保有しておくことなのです。

また、固定資産の購入は、下記のとおり、信用格付(定量評価)を悪化させ、銀行から融資を受けることを困難にするおそれがあります。

定量評価の各項目の詳細については、「融資審査の仕組み② 格付ー定量評価」をご参照ください。

なお、既に固定資産の購入により信用格付が低下してしまっている場合でも、売却等により一定の改善が見込めます

流動比率の悪化

固定資産の購入は、現預金という流動資産の減少により、流動比率を悪化させます。

ギアリング比率及び債務償還年数の悪化

固定資産の購入に伴い借入を行った場合には、長期借入金の増加により、ギアリング比率及び債務償還年数が悪化します。

経常利益増加率の悪化

購入した固定資産が減価償却資産である場合には、多額の減価償却費の計上により経常利益が減少し、結果、経常利益増加率が悪化します。

売上高経常利益率及び総資本経常利益率の悪化

固定資産の購入に伴い借入を行った場合には、負債の増加により、売上高経常利益率及び総資本経常利益率が悪化します。

購入した固定資産が減価償却資産である場合には、多額の減価償却費の計上により、これら指標はより悪化します。

インタレスト・カバレッジ・レシオの悪化

固定資産の購入に伴い借入を行った場合には、支払利息の増加により、インタレスト・カバレッジ・レシオが悪化します。