日本政策金融公庫の新創業融資制度とは

新創業融資制度とは

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、「新規開業資金」、「女性、若者/シニア起業家支援資金」等、本来、担保や代表者の連帯保証が必要となる各種融資制度を、無担保・無保証人で利用できる制度です。

つまり、「新創業融資制度で借りる」のではなく、「新創業融資制度を使って、新規開業資金等を無担保・無保証人で借りる」といった仕組みとなっています。

新創業融資制度利用のメリットとは

無担保・無保証人で利用できる

通常の融資制度では、原則として代表者が会社の連帯保証人となることが求められますので、もし会社が返済不能に陥ると、代表者が会社に代わって返済を行う必要があります。

対して、新創業融資制度では、上記のとおり、代表者が会社の連帯保証人となることが求められませんので、もし会社が返済不能に陥っても、代表者が会社に代わって返済を行う必要はありません

この無担保・無保証人という措置は、起業のリスクを大幅に軽減するものであり、実際に、日本政策金融公庫で創業融資を受けた方の9割以上が、新創業融資制度を利用しています。

適用金利が低くなる

新創業融資制度を利用した場合、新規開業資金や女性、若者/シニア起業家支援資金単体で融資を受けた場合よりも、適用金利が低くなるケースがあります。

新創業融資制度の利用要件

下図が、日本政策金融公庫のホームページから抜粋した新創業融資制度の利用要件です。

本項では、この新創業融資制度のそれぞれの要件につき、詳しくご紹介します。

1.創業の要件「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方」

税務申告を2期終えている方には、別途「担保を不要とする融資」という無担保(原則として代表者の保証が求められます)の制度が設けられています。

また、「税務申告を2期終えていない方」ですので、2期目を終えていても、いまだ申告期限を迎えておらず、申告が未済という方であれば、この要件を充足することになります。

なお、個人事業主であった方が、法人成りをして融資を申し込む場合には、少々注意が必要です。

個人事業として営んでいた事業を、法人として継続して行う場合のこの「2期」には、個人事業主であった期間も含まれます

一方で、個人事業として営んでいた事業と全く異なる事業を、法人として行う場合のこの「2期」には、個人事業主であった期間は含まれません。

2.雇用創出等の要件「「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」…」

列挙されている事項のいずれか一つを充足する必要があります

ただし、「雇用の創出を伴う事業を始める」、つまり1人でも従業員を雇用する計画があれば、この要件を満たすこととなりますので、あまり問題となることはないのではないでしょうか。

なお、この「雇用の創出を伴う事業を始める」の要件は、雇用の計画があることで足りることとなっており、創業融資獲得後に雇用が実現しなくても、ペナルティはありません

3.自己資金要件「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方」

たとえば、車等の設備資金や人件費等の運転資金を合わせて計1000万円が必要な事業については、100万円は最低限ご自身で準備する必要があり、残りの900万円の融資を新創業融資制度で借りるということとなります。

かつて、新創業融資制度の自己資金要件で必要とされる自己資金は、創業資金総額の3分の1とされていました。

これが10分の1となり、さらに現行制度では「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認知特定創業支援事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合には、自己資金0でも申し込みが可能となっているのです。

新創業融資制度の審査基準

新創業融資制度の主な審査基準は、

  • 自己資金
  • 斯業経験
  • 創業計画書
  • 信用情報

です。

自己資金

自己資金とは、事業のために使う資金のうち、返済の必要のないものをいいます。

日本政策金融公庫は、「真剣に創業に向けて準備をしてきたのであれば、相応の資金の蓄積をしてきているはず」と考えています。

つまり、日本政策金融公庫にとって、自己資金は創業者の熱意の尺度に他なりません。

上記のとおり、新創業融資制度の利用要件を充足する自己資金の金額は、「創業資金総額の10分の1以上となっていますが、実際の創業融資実行額は、統計上、自己資金の2倍〜3倍が平均となっています。

したがって、「創業資金総額の10分の1以上」は、あくまでも最低条件と捉え、少しでも多くの自己資金を蓄積し、創業への熱意を示すことが、新創業融資制度の利用により創業融資を獲得するための方策となります。

なお、日本政策金融公庫は、過去半年分の代表者の通帳から、自己資金の蓄積状況を確認しますが、自己資金は必ずしも代表者の預金であることを要しません

たとえば、

  • 入金が確実な退職金
  • 入金が確実な資産等の売却代金
  • 生計を一にする親族の預金

等も、自己資金として取り扱われます。

詳しくは、

をご参照ください。

斯業経験

斯業経験とは、「創業する事業と同種または類似の事業に携わってきた経験」をいいます。

しばしば、「事業経験」と混同する方がいらっしゃいますが、事業経験は、「事業を経営してきた経験」をいい、斯業経験とは別の概念です。

日本政策金融公庫は、「斯業経験の豊富な創業者であるほど、事業を成功させる蓋然性が高い」と考えています。

実際に、日本政策金融公庫が実施した調査では、創業融資を獲得した方の80%超が斯業経験を有しており、その経験年数の平均はおよそ14年となっています。

したがって、少しでも斯業経験を積み重ねることが、新創業融資制度の利用により創業融資を獲得するための方策となります。

なお、斯業経験のない方については、

  • 斯業経験の豊富な方を従業員として雇用する
  • アルバイト・パート等で斯業経験を積む

等で、リカバリーを図ることができます。

創業計画書

日本政策金融公庫の新創業融資制度の申し込みには、創業計画書の提出が必要となります。

日本政策金融公庫も金融機関である以上、融資をした会社が、遅滞なく元金返済と利息支払いを続けてくれる蓋然性の高低が融資審査の重要な基準となります。

既に経営実績のある創業後しばらく経った会社であれば、この蓋然性は決算書等(=実績)から判断することができます。

しかしながら、経営実績のない創業前または創業間もない会社については、この蓋然性は創業計画書(=見込み)から判断するしかありません。

つまり、創業する会社が創業融資により成長し、利益を獲得し、しっかりと元金返済及び利息支払いを続けていけることを示す創業計画書を作成することが、新創業融資制度の利用により創業融資を獲得するための方策となります。

なお、創業計画書の作成方法については、

をご参照ください。

信用情報

日本政策金融公庫の創業融資審査では、代表者個人の信用情報を照会する場合があります。

日本政策金融公庫は、「過去に滞納等をしている方は、滞納等を繰り返す蓋然性が高い」と考えています。

このため、審査において信用情報が照会され、かつここに滞納等で瑕があると、創業融資を受けることが困難となってしまいます。

信用情報の瑕は、その瑕の原因となった滞納等が解消されてから一定期間(概ね5年と考えて差し支えありません)が経過すると削除されますので、これを待ってから創業融資の申し込みをすることが最良です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

新創業融資制度は、起業家にとって非常にメリットの大きい融資制度でありながら、その利用要件は比較的緩やかです。

このため、多くの起業家は、新創業融資制度を利用して創業融資の申し込みを行うことが可能です。

しかしながら、実際に希望どおりの創業融資を獲得するには、提出資料の作成等、入念な準備が必要です。

日本政策金融公庫所定の創業計画書のみを提出しても、新創業融資制度の審査通過率は決して高くありません。

新創業融資制度を利用し、無担保・無保証人かつ低金利で希望どおりの創業融資を獲得したい方は、ぜひ弊社の無料相談をご利用ください。