日本政策金融公庫の新創業融資制度と制度融資との比較

一般に、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」制度融資の「創業」とを指して、創業融資といいます。

ただし、一口に創業融資といっても、両者には様々な異同がありますので、充分に検討し、いずれを利用するかを選択する必要があります。

①担保・保証人の要否

日本政策金融公庫では、新創業融資制度または中小企業経営力強化資金の利用により、無担保・無保証で融資を受けられるのに対し、制度融資をはじめとする保証協会付融資では、代表者の連帯保証が必須となります。

②審査期間の長短

制度融資は、信用保証協会と銀行との2者の審査を受ける必要があるため、プロパー融資である日本政策金融公庫の新創業融資制度と比較して審査期間が長くなります。

概ね、創業融資においては、日本政策金融公庫であれば申し込みから3〜4週間、制度融資であれば1月半〜2月程度でそれぞれ着金となるイメージです。

③「創業」の意義

日本政策金融公庫では、税務申告を2期終えていない者を創業者として取り扱う一方、制度融資では、創立後5年以内の者を創業者として取り扱います。

④副業に対する融資の可否

会社員が副業として創業する場合、日本政策金融公庫では、融資を受けることが可能ですが、制度融資では、融資を受けることができません。

⑤自己資金要件の有無

日本政策金融公庫の新創業融資制度には、事業開始後税務申告を1期終えていない者に対しては創業資金総額の10分の1以の自己資金を確認できることという要件がありますが、制度融資には、こうした自己資金に係る要件はありません。

⑥設備資金の取扱い

借入に当たって見積書が必要な点は日本政策金融公庫も制度融資も同様ですが、制度融資については、融資資金の振込先口座から直接、見積り発行業者に見積書どおりの金額を振り込むことを要求されるケースや、後に領収書の提出を要求されるケースがあります。

これは、融資先が融資を受けた資金を、申し込み時に申告した用途以外の用途に投下する(資金使途違反といいます。)ことは、信用保証協会の定める保証免責事由に該当するためです。

換言すれば、資金使途違反があると、信用保証協会は保証を取り消すことができるのです。

こうなると、銀行は代位弁済を受けられなくなってしまうため、制度融資、特に設備資金への融資については、融資先の資金使途には注意深いのです。

直接振込を拒否すると融資が否決されたり、領収書の提出を拒むと二度と保証を受けられなくなったりするおそれがありますので、資金使途は厳守してください。

一方で、日本政策金融公庫では制度融資ほど資金使途を確認してくることはありません。

とはいえ、日本政策金融公庫は、資金使途どおりに融資資金が投下された場合の事業の見通しにつき審査を行い、融資を実行するのですから、資金使途は厳守しなければなりません。

⑦レンタル・バーチャル・シェアオフィスを本店とした場合の評価

日本政策金融公庫では、本店登記地がレンタルオフィスやバーチャルオフィス、シェアオフィスであっても、営業の実態があれば、融資を受けることが可能です。

一方で、制度融資では、これらのオフィスを本店とすることは、審査上、ネガティブな評価となります。

情報の気密性確保に充分な間仕切りがある等の要件を充足すれば、融資を受けることは可能ですが、極力、これらのオフィスを本店登記することは避ける方が賢明です。