プロパー融資を引き出す交渉術② 基本

プロパー融資を受けるためには、一般に、3期分の優良な決算書が必要であるといわれています。

しかしながら、仮に上記の決算書を提出しても、銀行の側から、プロパー融資を提案してくることはまずありません。

プロパー融資は、銀行にとって、信用保証会付融資と比してリスクの高い融資であるためです。

加えて、銀行の担当者にとって、「信用保証協会付・証書貸付」の融資獲得が最も行内で評価され、出世の近道となるためです。

したがって、プロパー融資を引き出すためには、会社の側から積極的に銀行に働きかけなければなりません

具体的には、

①複数行取引により、銀行同士を競わせて交渉する
②少額・短期間の融資で交渉する
③融資申込額相当額を預金して交渉する
④信用補完制度の改正、ベンチマークを利用して交渉する

といった方法が有効です。

本記事では、プロパー融資獲得に向けた交渉の基本として、①〜③についてご紹介します。
なお、④については、「プロパー融資を引き出す交渉術③ 発展」をご参照ください。

①複数行取引により、銀行同士を競わせて交渉する

銀行は、融資を行って受け取る利息を主たる収入源としています。

さらに、各銀行には、決算ごとに融資残高のノルマがあります。

このため、複数行取引をしていると、銀行の間で、融資シェア獲得の競争が起こります

具体的には、銀行は、他行よりもよい融資条件を提示することにより、自行の融資シェアを増やそうとします

したがって、「他行では検討してくれている」とそれとなく匂わせることで競争心を煽り、プロパーを検討してもらえるよう、交渉しましょう。

②短期間・少額の融資で交渉する

銀行の融資の5原則のうち、安全性の原則及び流動性の原則を利用する交渉です。

銀行にとっては、長期の融資となればなるほど、融資先の状況は融資審査時から変化し、貸倒リスクが大きくなります
さらに、融資金額が増加すればするほど、そのリスクは大きくなります

つまり、銀行にとっては、短期間・少額の融資であるほど、取り組みやすいのです。

したがって、まずは、賞与資金や納税資金といった資金使途につき、短期間・少額の融資をプロパーで出してもらえるよう、交渉しましょう。

③融資申込額相当額を預金して交渉する

銀行がプロパー融資を行いたがらないのは、貸倒リスクを回避したいためです。

つまり、プロパー融資を引き出すには、貸倒リスクを軽減させればよいのです。

銀行には、融資先が返済不能に陥った場合には相殺という切り札があります。
相殺の詳細については、「融資申し込みと同時に定期預金を作成する」をご参照ください。

相殺により、預金の存在は、銀行にとって、担保や保証人と並ぶ融資債権の保全、すなわち貸倒リスクの軽減となります

したがって、会社の側から相殺の対象となる預金、可能であれば定期預金をした後、その預金額の範囲内でプロパー融資を出してもらえるよう、交渉しましょう。

ポイント

プロパー融資を引き出すには、

①複数行取引により、銀行同士を競わせて交渉する

②少額・短期間の融資で交渉する

③融資申込額相当額を預金して交渉する

といった方法が有効である。