【雑感】地銀統合に係る独占禁止法適用の見直しについて

地銀統合に係る金融庁と公正取引委員会との深い溝

 

金融庁は、これまで、地銀に対し、統合を含めた持続可能なビジネスモデルの構築を促してきました。

なお、事業性評価に基づく融資は、この「持続可能なビジネスモデルの構築」の一環として推進されているものです。

今日の銀行業界は、融資先や資金需要自体の減少に加え、金融緩和による超低金利により、利ざや収入が減少しています。

かくして、経営難に陥った銀行の活路の一つとして、経営統合が検討されることとなるのです。

 

しかしながら、一方で、公正取引委員会は、市場の寡占により、貸出金利が高止まりするおそれがあるとして、地銀の統合には慎重姿勢を見せています。

なお、金融庁は、こうした公正取引委員会の見解に対しても、市場の寡占と貸出金利の上昇とには相関関係はなく、むしろ寡占度が上がるに伴い貸出金利は低下する可能性がある旨を盛り込んだ報告書(「地域金融の課題と競争のあり方」)をまとめています。

 

独占禁止法適用緩和の検討

 

このように、地銀の統合については、金融庁と公正取引委員会との間に深い溝が生じていたところですが、政府の成長戦略を取りまとめる機関である未来投資会議は、11月6日に、地方施策の強化の一環として、統合の阻害要因となっていた独占禁止法の適用緩和を検討する旨、関係閣僚に指示しました。

会議後、公正取引委員会の杉本和行委員長は、地方機関サービスの維持に必要な統合であれば、独占禁止法上問題としないとしつつも、適用緩和については、「今後の議論次第」と述べるにとどめました。

もし、今後、適用緩和が実現することとなれば、経営難の地銀の統合の活発化が予想されます。

 

経営統合による影響

 

中小企業にとって、経営統合によりもたらされるおそれのある影響のうち、最も大きなものは、融資条件の変更です。

この点、例えば、北越銀行と第四銀行とが2021年1月に統合する予定となっていますが、当該統合の後にあっても、公正取引委員会の危惧している貸出金利の引き上げや与信枠の減少等の融資条件の変更は行わないことを明らかにしています。

 

しかしながら、他の統合において同様であるという保証はどこにもありません。

今後、独占禁止法適用緩和の行く末と地銀の経営統合の動向とを、注視していく必要がありそうです。